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【2024/04/20 04:18 】 |
「ごめんなさい…」執拗な取り調べにすすり泣く菅家さん(産経新聞)
【足利再審 テープ再生(2)】

 《すすり泣きを続ける菅家さん。検事の追及は厳しく、そして、「足利事件」にも言及が及ぶ》

森川検事「(長谷部)有美ちゃんの事件(別の女児殺害事件)は違うと言うんでしょう。最初に捕まったときの(松田)真美ちゃんの事件(足利事件)はその通りなの?」

菅家さん「…」

森川検事「間違いない?それは」

菅家さん「…」

森川検事「あのね。ずるい気持ちを起こさないでほしい」

菅家さん「はい」

森川検事「僕は、君からどんな返事を聞かれようが、驚くつもりはないし、別に怒るつもりもないし」

菅家さん「はい」

森川検事「真美ちゃん事件はどうなの? 有美ちゃん事件は違うの?」

菅家さん「…」

森川検事「本当のことを知りたいと思っているわけだよ。君からどんな答えが出てこようが、怒るつもりはまったくないし、驚きもしないよ。有美ちゃんの事件は違う? 君はやってないの? やったのか、やってないのか。有美ちゃんのほう」

菅家さん「…」

森川検事「本当のことを知りたいと言ってるだけで、今まで話した通りに話をしろと言ってるわけじゃない。今まで話したことが正しいのであれば、その通り話してもらえればいいし。今まで話したことが事実と違っていると言うなら違うと言ってくれて構わないんだし」

菅家さん「はい」

森川検事「有美ちゃんの事件は、君がやったの?やってないの? 本当のところはどうなの」

菅家さん「やってません」

森川検事「で、もう1回聞くけど、真美ちゃんの事件はやったの?」

菅家さん「…」

森川検事「そしたらね、有美ちゃんの事件ね。やってないのに、やったと警察で話したのはなぜなんだろう」

 《ここまでテープが再生されたとき、突如、菅家さんは手を挙げて体調がすぐれないと申し出た。菅家さんは足早に退廷し、別室で休憩。約20分後に再開された》

 《取り調べは引き続き検事の執拗(しつよう)な追及が続いている》

菅家さん「すみません」

森川検事「うん」

菅家さん「ごめんなさい」

森川検事「どうしたんだ」

菅家さん「…」

森川検事「本当はやったのか君? うん、うん」

菅家さん「うー」

森川検事「本当は君がやったのか? 有美ちゃんの事件も」

菅家さん「(泣き声)」

森川検事「やっぱりそう。有美ちゃんの事件やったの? そうだね」

菅家さん「(泣き声)」

 《検事の問いに、すすり泣きの中、はっきりとした言葉では答えられず、沈黙する菅家さん。森川検事は諭すような口調で質問を続ける》

森川検事「なんか君を違うことを言うようにし向けたのかもしれないしね。僕の言葉に乗っちゃったのかもしれないからさ。あえてうそをつかしたんだったら、僕のほうが悪いんだけども。僕にも悪いところがあるんだけども」

菅家さん「…」

森川検事「なに、さっきの僕の言葉で助かるんじゃないかという気持ちがあったわけ? 違うの?」

菅家さん「…」

森川検事「思いだすのも嫌だった?」

菅家さん「はあー」

森川検事「罪が重くなると、助かるもんなら助かりたいという気持ちになったのかな? いや、なってもいいんだよ。それは誰だって、そういう気持ちになるし。そういうことなら、それとも別の理由があったのかな? どっちなの?」

菅家さん「口べたで、よく分からないんですけど」

森川検事「じゃあ、逆に聞くけども、いったんね、自分がやってないというふうに話したのにね、さっきだよ、なんでまたごめんなさいなんて言ったのさ。認める気になったの?」

菅家さん「…」

森川検事「僕はね、そんときは間違いじゃないかとかね。認めないとかいう言い方は全然してなくて。警察が怖かったとか、そんな話をね、なんか聞いたつもりなんだけど。なんで、さっきまた認めようって気になったの?」

菅家さん「警察のほうでですね、その通りだと話してて」

森川検事「やっぱりうそつけない?」

菅家さん「はい」

 《菅家さんはいったんは有美ちゃん事件を否認しながら、検事の取り調べに「自白」する。話はもう1つの女児殺害事件である福島万弥ちゃん事件へと入っていく》

森川検事「もう1つ聞くけどね、万弥ちゃん事件ね」

菅家さん「はい」

森川検事「神社の所で誘って、墓地に連れて行ったというやつ」

菅家さん「はい」

森川検事「あれも間違いない?」

菅家さん「ん、自分ではそう話しましたけど」

森川検事「ん。話しましたけどって何?」

菅家さん「…」

森川検事「ん、うなずいているのは間違いないの?」

菅家さん「はいそうです」

森川検事「違うと言ってもらえばいいわけだし、ねえ、事実のとおりだったらそのとおりだといえばいいし、ねえ、ただ僕も正直な、本当のことを知りたい」

菅家さん「(沈黙)」

森川検事「本当のことを、ねえ」

菅家さん「(沈黙)」

森川検事「この万弥ちゃんの話、もう1回聞こうか、ねえ」

菅家さん「(沈黙)」

森川検事「返事がないわけか、どうした」

菅家さん「自分です」

森川検事「やった?」

菅家さん「はい」

森川検事「そういう風に勇気がいるのか」

菅家さん「(沈黙)」

森川検事「君の口からはすぐには返事が出てこない」

菅家さん「はい」

森川検事「僕も君から調書を取って、そのとおりですと、すぐに答えが返ってもいいように思うけどね。そうですと、今答えるのにだいぶ間があるわけ」

菅家さん「…」

森川検事「やっぱり迷うね。勇気がいるかな。こうやって話すの。どうだい」

菅家さん「はい」

森川検事「そうなんだね」

菅家さん「ええ」

 《検事の取り調べに沈黙を重ねる菅家さんも、万弥ちゃん事件についても、ついに「自白」する。検事は警察での取り調べの様子に話題を変える》

森川検事「警察の取調官の印象は」

菅家さん「好きですね」

森川検事「好き? 遠慮したくていいよ」

菅家さん「遠慮じゃなくて。自分の気持ちを分かってくれるような感じなんですよね」

森川検事「真美ちゃんの事件もそうだし、万弥ちゃんの事件もそうなんだけど、警察の調べ方は何回も聞いているよね。押しつけてくるような言い方はされなかったの」

菅家さん「なかったと思います。『やったんだろ』『わかってる』とかは言われましたけれど」

森川検事「脱線しちゃったけど、『やってません』というときの気持ちと『やった』というときの気持ちは違うでしょ」

菅家さん「はい」

森川検事「ね。やってないと話したときは、どっかにわだかまりがない」

菅家さん「はい」

森川検事「やっぱあるか。あのね、有美ちゃん事件でもう1回聞くけど、警察で最初に(有美ちゃん事件について)話したのは12月20日でしょ。自分で何か書いた?」

菅家さん「自分では地図を書いたような気もします」

森川検事「最初に声をかけてから、最後はこの場面?」

菅家さん「山の」

森川検事「あの地図は記憶のまま書いたの?」

菅家さん「はい」

森川検事「記憶ないまま当てずっぽうで書いたのもあるだろう」

菅家さん「あてずっぽうはないと思います」

森川検事「じゃあ、有美ちゃん事件で警察を現場に案内したよね。あれがいつか覚えてる? 覚えてないか」

菅家さん「20日ごろですか」

森川検事「そうするとね、現場を案内する前に有美ちゃん事件に関して地図とか写真見せられた? 警察に例えばここから死体があったんだとか、パチンコ屋とか。写真でもいいし、地図でもいいし」

菅家さん「見せられたことはないです」

森川検事「地図書いたり図面書いたりして説明してるでしょ。あれは見せられないで書いたわけ?」

菅家さん「はい」

森川検事「穴を掘って埋めたと言ったよね。警察から聞いたの?」

菅家さん「いえ」

森川検事「深さや大きさも説明したでしょ。警察から説明受けてないの?」

菅家さん「受けてません」

森川検事「記憶だけで?」

菅家さん「はい」

 《検事は菅家さんが警察の取り調べで説明した現場の状況などを、記憶に基づいた説明かを問いただしていく。菅家さんは有美ちゃんの着衣や真美ちゃんの着衣についても、記憶のみで説明したと話す》

森川検事「じゃあね、本当は自分がやっていないのに、やったように説明したことはない? 警察に怒られそうな気がして言っちゃったとか。理由は何でもいいんだけど。ない?」

菅家さん「はい」

森川検事「ふーん。君のいないところで調書を書かれたことはあるかい」

菅家さん「ないです」

森川検事「君が認めた、話したことが文書になってると考えていいのかな」

菅家さん「そう思います」

 《検事は、警察での自白や供述調書が、菅家さんの任意によることを確認した》

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